映像の21世紀―芥川賞

文学から、きらめきと魔術的な美がついに奪い取られてしまった。
大江健三郎遠藤周作が、難解な文体や独特の表現を駆使しながら、
当時の風俗を驚かせ、文化を改変している。

そんなことはもうなくなった。
これからの文学は、確実で分かり易くて、作家のルックスや話題性が重視される。
一方、従来の高尚で俗世間受けしない作品には、誰も目を向けなくなる。

これから先に発表される文学作品は、未来にも通じる洗練さを失う事になるだろう。
やがて、それぞれの文学賞は、限界のない、話題性だけを重視した、
興業主義のためのシステムを産みだす事になる。
人類は、初めて自分たちの文化を絶滅させることが出来る手段を手にした。
これこそが、作家の栄光と苦労の全てが最後に到達した運命である。